フランス語のまとめ
個人的な覚え書き。
音節と強勢
言語音には子音と母音があります。音節とは、母音を核としたいくつかの音の集まりです。この章では、単語の音節化とその強勢について学びます。
記号の詳細に関してはIPA chartを参照してください。また、「Forvo」というサイトが発音の確認に便利です。
子音
まずフランス語の子音を確認していきましょう。
英語と違って、語末の子音は/ə/を添えるイメージで発音するといい感じになります。
閉鎖音 {p, b, t, d, k, g}
これらの音には馴染みがあると思います。
/p/と/b/ | ピン | 瓶 |
---|---|---|
/t/と/d/ | 天気 | 電気 |
/k/と/g/ | 缶 | 癌 |
次の単語で練習しましょう。今の段階では、/e/の発音は「エ」で構いません。
1 | p | [pe] | ‘p’ |
---|---|---|---|
2 | b | [be] | ‘b’ |
3 | thé | [te] | 'tea' |
4 | d | [de] | ‘d’ |
5 | quai | [ke] | 'platform' |
6 | gué | [ge] | 'ford' |
鼻音 {m, n}
これらは閉鎖音と同様に馴染みがあると思います。
例:「夢魔」と「沼」
では次の単語で練習しましょう。
1 | mie | [mi] | 'crumb' |
---|---|---|---|
2 | nid | [ni] | 'nest' |
摩擦音(無声){f, s, ʃ, χ}
以下は無声の摩擦音に関する表です。
記号 | ɸ | f | θ | s | ʃ | ç | x | χ | h |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
例 | 麩 | - | - | 酢 | 詞 | 火 | 歯 | - | 帆 |
順に発音することで、 調音部位が後ろにずれていくこと分かります。これを利用して/f/と/χ/の音が習得できます。
例:/χ/
- 歯と帆を発音し、調音位置を確認する。
- 歯から帆へと滑らかに発音してみる。
- 中間点を探し当て、そこで調音してみる。
- Youtubeなどで/χ/の音を聴いて確認する。
それでは次の単語で練習してみましょう。母音にはまだ拘らなくても大丈夫です。
1 | f | [ɛf] | 'f' |
---|---|---|---|
2 | as | [as] | 'ace' |
3 | hache | [aʃ] | 'ax' |
4 | art | [aχ] | 'art' |
摩擦音(有声){v, z, ʒ, ʁ}
下の表を見ると分かるように、単に濁音をつけて有声化すると破裂音になってしまいます。
無声 | 麩 | 酢 | 詞 | 火 | 歯 | 帆 |
---|---|---|---|---|---|---|
濁音化 | 武 | 図 | 痔 | 美 | 場 | 簿 |
得られる音 | b | dz | ʤ | b | b | b |
期待した音 | β | z | ʒ | ʝ | ɣ | ɦ |
しかし/ʃ/の場合、母音で挟むことによって純粋な有声化を実現できます。
例:「足跡」と「アジアと」
「ジ」の破裂が弱められていることが分かります。この感覚を応用して/v/、/z/、/ʁ/を習得しましょう。
有声の破擦音を含む単語には次のようなものがあります。
1 | veine | [vɛn] | 'vein' |
---|---|---|---|
2 | zen | [zɛn] | 'zen' |
3 | gêne | [ʒɛn] | 'discomfort' |
4 | reine | [ʁɛn] | 'queen' |
母音
次に母音を見ていきます。
接近音は子音に分類されますが、音色は比較的母音に近いためここで扱います。
狭母音 {i, y, u}
日本語では「イ」・「エ」・「ア」のように、口の開き具合には3種類あります。一方でフランス語は4種類の口の開き方があります。
そのため、我々が発する母音は口の動きが小さくなってしまいます(大きく開閉しなくとも区別できるため)。
ここで扱う狭母音は極端に”狭く”発音する気持ちでいきましょう。
口の開き | 舌の位置 | 唇の形 | 日本語との比較 | |
---|---|---|---|---|
/i/ | 狭 | 前 | 普通 | 比較的「イ」に近い |
/u/ | 狭 | 後 | 丸める | 俗にいうタコ口の「ウ」 |
/y/ | 狭 | 前 | 丸める | - |
/y/が比較的難しいと思うので、次のように練習すると良いでしょう。
- 「イ」と「ウ」を発音する。
- 舌が前後する感覚と唇が丸くなる感覚を把握する。
- 「イ」の音から舌を後ろに引かず唇だけを丸くする。
次の単語でも練習しましょう。
1 | biche | [biʃ] | 'doe' |
---|---|---|---|
2 | bouche | [buʃ] | 'mouth' |
3 | bûche | [byʃ] | 'log' |
前舌母音 {i, e, ɛ, a}
/i/は狭母音で扱ったので割愛します。
口の開き | 舌の位置 | 唇の形 | 日本語との比較 | |
---|---|---|---|---|
/e/ | 半狭 | 前 | 普通 | 「イ」と「エ」の中間 |
/ɛ/ | 半広 | 前 | 普通 | 口がより開いた「エ」 |
/a/ | 広 | 前 | 普通 | 舌が前にある「ア」 |
まず/a/を習得し、/i/と/a/の間を4等分する方法が近道です。/a/の練習方法を以下に示します。
- 「イ」、「エ」、「ア」と順に発音する。
- 「エ」から「ア」と発音するときに舌が後ろにいく感覚を把握する。
- 舌を下げずに「ア」という。
- 狭母音での注意と同様に、極端に”広く”口を開けて発音する。
それでは以下の単語で4つの音を区別しましょう。
1 | pie | [pi] | 'magpie' |
---|---|---|---|
2 | p | [pe] | ‘p’ |
3 | paix | [pɛ] | 'peace' |
4 | pas | [pa] | 'step' |
後舌母音 {u, o, ɔ}
/u/は狭母音で扱ったので割愛します。
口の開き | 舌の位置 | 唇の形 | /i/から/u/への動きを | |
---|---|---|---|---|
/o/ | 半狭 | 後 | 丸める | /e/に行う |
/ɔ/ | 半広 | 後 | 丸める | /ɛ/に行う |
「オ」を基準に考えるよりも、/e/と/ɛ/を基準に考えた方が早いです。
以下の単語がよい練習となります。
1 | quiche | [kiʃ] | 'quiche' |
---|---|---|---|
2 | couche | [kuʃ] | 'layer' |
3 | fée | [fe] | 'fairy' |
4 | faux | [fo] | 'scythe' |
5 | baisse | [bɛs] | 'fall' |
6 | bosse | [bɔs] | 'bump' |
7 | paume | [pom] | 'palm' |
8 | pomme | [pɔm] | 'apple' |
同様の方法で/a/から/ɑ/の音を作ることができます。/a/と/ɑ/の区別は現代フランス語ではなされていませんが、次の鼻母音の項で/ɑ/が必要となります。
鼻母音 {ɔ̃, ɑ̃, ɛ̃}
記号「~」はその音を鼻音化していることを示します。
この現象は日本語でも見られます。
例:「精査」と「生産」
後者の場合、「ん」につられて直前の母音が鼻音になっていることが分かります。
この感覚をそれぞれの音に適用するとき、/ɔ̃/は/ɔ/よりも/o/、/ɛ̃/は/ɛ/よりも/a/を鼻音化するとより近い音になります。
以下の単語で確認してみましょう。
1 | faute | [fot] | 'mistake' |
---|---|---|---|
2 | fonte | [fɔ̃t] | 'melting' |
3 | mode | [mɔd] | 'fashion' |
4 | monde | [mɔ̃d] | 'world' |
5 | passe | [pas] | 'pass' |
6 | pince | [pɛ̃s] | 'pliers' |
7 | tête | [tɛt] | 'head' |
8 | teinte | [tɛ̃t] | 'shade' |
9 | tante | [tɑ̃t] | 'aunt' |